当院における内服抗菌薬治療の考え方
2025/01/05
当院における内服抗菌薬治療の考え方
1. 小児の風邪の多くは自然治癒する
2. 中耳炎の予防に鼻吸引を推奨する
3. 全ての薬にはメリット、デメリットが存在する
4. 適切な病歴聴取、診察、必要な検査をしてより良い医療を提供する
1. 小児の風邪の多くは自然治癒する
小児の感染症の多くはウイルス性で、一部のウイルスを除いて基本的には自分自身の免疫力で治すことができるので抗菌薬は必要ありません。例えば、乳幼児は上気道炎から中耳炎を合併することもありますが、中耳炎も自然治癒する場合もあるので、内服抗菌薬は必要に応じて処方します。
2. 中耳炎の予防に鼻吸引を強く推奨します
中耳炎を予防する方法の一つとして鼻吸引があります。3歳未満の乳幼児は自分自身で鼻をかむことが困難なため、自宅での鼻吸引を推奨しますが、必要と判断した際にはクリニックでも吸引します。ただし、鼻吸引をしても中耳炎を完全に防ぐことはできません。鼓膜の膨隆、腫脹、発赤が強く発熱している場合、または今後発熱することが予想される場合には内服抗菌薬を処方します。
3. 全ての薬にはメリット、デメリットが存在する
多くの抗菌薬がありますが、どの薬にもメリット、デメリットが存在します。例えばペニシリン系のアンピシリンは、急性中耳炎治療において近年耐性菌が指摘されており、数人に一人は効果が弱いか効かない可能性があります。また、内服量はセフェム系抗菌薬の2倍以上です。セフェム系抗菌薬のセフジトレンピボキシルには頻度は不明ですが、ピボキシル基による低血糖の副作用があり、長期の使用時には注意しております。
一方、昨年マイコプラズマ肺炎が流行した際はクラリスロマイシンに対する耐性菌が増え、治療効果が低くなったため、アジスロマイシンを処方し、薬剤不足のため、トスフロキサシンに切り替えました。
4. 適切な病歴聴取、診察、必要な検査をしてより良い医療を提供する
このように治療は周囲の感染状況、身体所見、(必要と判断した際の)検査結果、薬剤の供給状況などを総合的に判断し、必要があると判断した場合、適切な抗菌薬を処方しています。今後も、1人1人のお子様にとってより良い治療をこれからも模索したいと考えております。今後ともよろしくお願いいたします。
大和こどもクリニック
多田欣司
1. 小児の風邪の多くは自然治癒する
2. 中耳炎の予防に鼻吸引を推奨する
3. 全ての薬にはメリット、デメリットが存在する
4. 適切な病歴聴取、診察、必要な検査をしてより良い医療を提供する
1. 小児の風邪の多くは自然治癒する
小児の感染症の多くはウイルス性で、一部のウイルスを除いて基本的には自分自身の免疫力で治すことができるので抗菌薬は必要ありません。例えば、乳幼児は上気道炎から中耳炎を合併することもありますが、中耳炎も自然治癒する場合もあるので、内服抗菌薬は必要に応じて処方します。
2. 中耳炎の予防に鼻吸引を強く推奨します
中耳炎を予防する方法の一つとして鼻吸引があります。3歳未満の乳幼児は自分自身で鼻をかむことが困難なため、自宅での鼻吸引を推奨しますが、必要と判断した際にはクリニックでも吸引します。ただし、鼻吸引をしても中耳炎を完全に防ぐことはできません。鼓膜の膨隆、腫脹、発赤が強く発熱している場合、または今後発熱することが予想される場合には内服抗菌薬を処方します。
3. 全ての薬にはメリット、デメリットが存在する
多くの抗菌薬がありますが、どの薬にもメリット、デメリットが存在します。例えばペニシリン系のアンピシリンは、急性中耳炎治療において近年耐性菌が指摘されており、数人に一人は効果が弱いか効かない可能性があります。また、内服量はセフェム系抗菌薬の2倍以上です。セフェム系抗菌薬のセフジトレンピボキシルには頻度は不明ですが、ピボキシル基による低血糖の副作用があり、長期の使用時には注意しております。
一方、昨年マイコプラズマ肺炎が流行した際はクラリスロマイシンに対する耐性菌が増え、治療効果が低くなったため、アジスロマイシンを処方し、薬剤不足のため、トスフロキサシンに切り替えました。
4. 適切な病歴聴取、診察、必要な検査をしてより良い医療を提供する
このように治療は周囲の感染状況、身体所見、(必要と判断した際の)検査結果、薬剤の供給状況などを総合的に判断し、必要があると判断した場合、適切な抗菌薬を処方しています。今後も、1人1人のお子様にとってより良い治療をこれからも模索したいと考えております。今後ともよろしくお願いいたします。
大和こどもクリニック
多田欣司